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未分類 2026.05.19

コカ・コーラゼロはなぜカロリーゼロなのか——仕組みと健康への影響を科学的に解説

コカ・コーラゼロはなぜカロリーゼロなのか——仕組みと健康への影響を科学的に解説

「カロリーゼロなのに甘い。これって本当に大丈夫なのか?」

コカ・コーラゼロを手にするたびに、そんな疑問を感じたことはないでしょうか。ダイエット中の選択肢として選ぶ人も多い一方で、「人工甘味料は体に悪い」「発がん性がある」といった情報も目にします。

この記事では、コカ・コーラゼロを題材に「なぜカロリーゼロなのか」という仕組みを解説し、国際機関の最新評価と科学研究をもとに、健康への影響を正確にお伝えします。「危険か安全か」の二択ではなく、「現在の科学的コンセンサスはどこにあるか」を示すことを目指します。

「カロリーゼロ」はそもそも本当にゼロなのか

結論から言えば、「カロリーゼロ」は厳密には「ゼロ」ではありません。これは表示基準の問題であり、メーカーの不正でもごまかしでもありません。日本の法律がそう定めているのです。

日本の食品表示基準——100mlあたり5kcal未満で「ゼロ表示」が許可される

日本の食品表示基準(消費者庁)では、飲料において100mlあたりのエネルギーが5kcal未満であれば「カロリーゼロ」「エネルギーゼロ」と表示することが認められています。

たとえば500mlのペットボトルに換算すると、最大で24.9kcalまでが「カロリーゼロ」と名乗れる計算になります。これは白米の約10分の1程度のカロリーに相当しますが、「ゼロ」という言葉の印象からするとやや驚く方もいるかもしれません。

とはいえ、この基準はコーラ(通常版)の500mlあたり約225kcalと比べると、桁が違うレベルで低いことも事実です。「完全なゼロではないが、ほぼゼロに近い」というのが正確な表現です。

コカ・コーラゼロシュガーの実際のカロリーと成分表示

コカ・コーラゼロシュガー(日本版)の成分表示を確認すると、100mlあたりのエネルギーは0〜1kcal程度です。表示上はゼロとなっています。

原材料は以下の通りです。

  • 炭酸
  • カラメル色素
  • 酸味料
  • 甘味料(スクラロース、アセスルファムK)
  • 香料
  • カフェイン

通常のコカ・コーラに含まれる砂糖がなく、代わりに2種類の甘味料が使われているのが最大の違いです。では、なぜこの甘味料を使えばカロリーをほぼゼロにできるのでしょうか。

コカ・コーラゼロが甘い理由——2つの甘味料の仕組み

カロリーがほぼゼロなのに甘さを感じる理由は、使用している甘味料が「砂糖と比べてごくわずかな量で同等の甘さを出せる」からです。量が少なく、かつ体内で代謝されないため、カロリーも極めて低くなります。

スクラロース——砂糖から作られる砂糖の600倍の甘味料

スクラロースは、砂糖(ショ糖)の水酸基の一部を塩素原子に置き換えることで合成された甘味料です。砂糖の約600倍の甘さを持ち、砂糖に近い甘味質(後味の自然さ)が特徴とされています。

体内でほとんど消化・吸収されないため、カロリーはほぼゼロです。熱や酸にも安定しており、加熱調理にも使える甘味料として知られています。

アセスルファムK——熱・酸に強い砂糖200倍の合成甘味料

アセスルファムK(アセスルファムカリウム)は、酢酸を原料として合成された甘味料です。砂糖の約200倍の甘さを持ち、熱や酸に対する安定性が高いという特徴があります。

体内で代謝されずにそのまま尿中に排泄されるため、カロリーはゼロです。甘さのキレがやや強いため、他の甘味料と組み合わせて使われることが多く、コカ・コーラゼロでもスクラロースと併用されています。

なぜ少量で十分なのにカロリーがほぼゼロになるのか(仕組みのまとめ)

コカ・コーラゼロシュガーに使われる2つの甘味料はいずれも、体内で代謝されずにそのまま排泄されるタイプです。砂糖の200〜600倍という強い甘さを持つため、極めて少量で同等の甘さを実現でき、カロリーは実質ゼロになります。

これら2つを組み合わせることで、砂糖なしでも「コーラらしい甘さ」を実現しながら、カロリーをほぼゼロに抑えているのがコカ・コーラゼロの仕組みです。

なぜアスパルテームが話題になったのか——ゼロカロリー食品に広く使われる甘味料の安全性論争

2023年、「アスパルテームに発がん性の可能性がある」というニュースが世界中で注目を集めました。アスパルテームはコカ・コーラゼロシュガー(日本版)には含まれていませんが、ゼロカロリー飲料や低糖質食品全般に広く使用されている甘味料です。この議論はゼロカロリー食品全体の安全性を考えるうえで重要な情報であるため、ここで正確に解説します。

アスパルテームとはどんな甘味料か

アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンという2種類のアミノ酸から合成された甘味料です。砂糖の約200倍の甘さを持ちます。ゼロカロリー飲料・菓子・医薬品など幅広い製品に使用されており、日本でも食品添加物として認可されています。

なお、アスパルテームはフェニルケトン尿症(PKU)という先天性疾患を持つ方が代謝できない成分を含むため、アスパルテームを使用した食品には「L-フェニルアラニン化合物」という注記が義務付けられています。コカ・コーラゼロシュガー(日本版)には現行アスパルテームは含まれていませんが、他のゼロカロリー飲料を選ぶ際にはこの表示を確認することが重要です。

IARC(2023年)のアスパルテーム評価——「グループ2B」とはどういう意味か

2023年7月、WHO傘下のIARC(国際がん研究機関)はアスパルテームを「発がん性の可能性がある物質(グループ2B)」に分類しました。この発表は大きなニュースになりましたが、「グループ2B」の意味が正確に伝わらないまま「アスパルテームに発がん性がある」と解釈されるケースが多く見受けられます。

IARCの分類は以下の4段階です。

  • グループ1:発がん性がある(タバコ、アルコール、加工肉など)
  • グループ2A:おそらく発がん性がある(65℃以上の熱い飲み物、赤肉など)
  • グループ2B:発がん性の可能性がある(証拠が限定的)
  • グループ3:発がん性について分類できない

「グループ2B」は「発がんの証拠の強さ」の分類であり、日常的な摂取量でのリスクの大きさを示すものではありません。この分類には過去にコーヒー(後に除外)、ピクルス、漬物なども含まれていた経緯があります。

重要なのは、IARCと同時期にJECFA(WHO/FAO合同食品添加物専門家委員会)がアスパルテームのリスク評価を行い、「ADI(一日許容摂取量)を40mg/kg体重/日から変更する理由はない」と結論づけた点です。IARCが「ハザード(危険物質かどうか)」を評価するのに対し、JECFAは「リスク(実際の摂取量での安全性)」を評価します。この2つは役割が異なり、両方の評価を合わせて読むことが正確な理解につながります。

人工甘味料は体に悪いのか——国際機関の評価を正確に読む

「人工甘味料は体に悪い」という情報は多く見られますが、その根拠として挙げられることが多いのが、2023年のWHOの勧告やIARCの評価です。しかしこれらの内容は、しばしば誤解された形で広まっています。ここでは、各機関の発表を正確に読み解きます。

WHO(2023年)の勧告——「ダイエット目的の長期使用は推奨しない」

WHOは2023年5月、非糖質甘味料(NSS)に関するガイドラインを発表し、「体重管理や非感染性疾患のリスク低減を目的とした非糖質甘味料の使用は推奨しない」と勧告しました。

この勧告のポイントは「ダイエット目的での長期使用に効果が確認されていない」という点です。人工甘味料が「毒だから飲むな」という内容ではありません。

WHOのガイドラインは「人工甘味料で砂糖を置き換えるより、甘みのない食品・飲料を選ぶ食習慣に移行することが望ましい」という方向性を示しています。つまり、「人工甘味料は危険だから禁止」ではなく、「長期的な健康維持には、甘いものへの依存自体を減らす方が合理的」というメッセージです。

JECFA・日本食品安全委員会の立場——「現在の摂取量では安全」

日本の食品安全委員会も2023年の一連の評価を受け、「IARCはアスパルテームをグループ2Bに分類し、JECFAはADIを変更する理由はないとした」という情報を公表しています。

日本人のアスパルテーム平均摂取量は、令和4年度の厚生労働科学研究の推計によると約6.58mg/人/日で、ADI比わずか0.3%とされています。現実的にあり得る摂取量の範囲では、安全性に問題がないとするのが現時点の科学的コンセンサスです。

腸内細菌への影響——最新研究が示唆していること

2022年、イスラエルのワイツマン科学研究所の研究チームが、学術誌「Cell」にて注目すべき研究結果を発表しました。スクリーニングした1,300名以上の中から選定した健康な成人120名を対象に、サッカリン・スクラロース・アスパルテーム・ステビアのいずれか1種を2週間摂取させたところ、スクラロースとサッカリンを摂取した群で腸内細菌叢の変化と耐糖能の低下が確認されました。一方、アスパルテームとステビアでは、この試験で摂取したレベルでは耐糖能への影響は確認されませんでした。

コカ・コーラゼロシュガー(日本版)に含まれるスクラロースについては、この研究結果が一定の示唆を与えています。ただし、この研究はあくまで「変化が生じた可能性を示す」段階であり、長期的な健康への影響を確定するには今後のさらなる研究が必要とされています。

また、一部の記事では糖アルコール(エリスリトール・ソルビトール)に関する研究と、スクラロースなど合成甘味料の研究を混同しているケースが見られます。糖アルコールと合成甘味料は別の物質であり、情報を読む際にはどの甘味料に関する研究なのかを確認することが重要です。

「コカ・コーラゼロを飲み続けていいか」という問いへの答え

科学的な情報を整理したうえで、多くの人が実際に知りたい「毎日飲んでも大丈夫か」という問いに答えます。

砂糖入りコーラからの切り替えとしては短期的に有効

通常のコカ・コーラ(500ml)には約225kcalと約56gの砂糖が含まれています。これをコカ・コーラゼロに置き換えることで、カロリーと糖質の摂取量を大幅に削減できることは確かです。

「砂糖入り清涼飲料水をどうしてもやめられない」という状況では、ゼロカロリー飲料への切り替えは短期的な選択肢として合理性があります。歯科的な観点でも、砂糖による虫歯リスクを下げる効果は期待できます。

水・お茶と比べると長期的な優位性は確認されていない

一方、前述のWHOの2023年ガイドラインが示すように、「砂糖入り飲料をゼロカロリー飲料に置き換えることが長期的な体重管理や健康維持に有効かどうか」については、科学的なエビデンスが十分に確立されていません。

水や緑茶・麦茶などの無糖飲料と比べたとき、コカ・コーラゼロが健康面で優れるという証拠は現時点では確認されていません。喉の渇きを潤すためや、日常的な水分補給を目的とするなら、水・お茶が最もシンプルな選択です。

一日に何本まで大丈夫か——甘味料の安全基準から考える

コカ・コーラゼロシュガーに含まれるスクラロースのADI(一日許容摂取量)は15mg/kg体重/日、アセスルファムKのADIは15mg/kg体重/日です。体重60kgの成人であれば、それぞれのADIは1日あたり900mgになります。

現行の日本人の平均摂取量はこれらのADIを大幅に下回っており、コカ・コーラゼロを1〜2本飲む程度では、ADIに近づくことすらありません。科学的根拠に基づけば、健康な成人が通常の生活の中でコカ・コーラゼロを飲むことで、甘味料の安全基準を超えるリスクはまず考えられないレベルです。

「何本まで」という明確な上限を示すことは難しいものの、1日1〜2本程度であれば現在の安全基準を大幅に下回ることは確かです。

特に注意すべき人(妊婦・腸疾患既往者・他製品でのアスパルテーム摂取者)

一般的な健康な成人には大きな懸念はないとされていますが、一部の人には注意が必要です。

妊婦・授乳中の方
妊娠中・授乳中の人工甘味料摂取に関する長期的な安全性については、現時点では十分なエビデンスが蓄積されていません。過剰な摂取は避け、かかりつけ医に相談することを推奨します。

腸疾患の既往がある方
前述のCell誌の研究が示すように、スクラロースが腸内細菌叢に影響を与える可能性が示唆されています。炎症性腸疾患(IBD)など腸疾患の既往がある方は、主治医に相談のうえ摂取量を検討することが無難です。

フェニルケトン尿症(PKU)の方——他のゼロカロリー製品を選ぶ際の注意
コカ・コーラゼロシュガー(日本版)にはアスパルテームは含まれていません。ただし、アスパルテームはゼロカロリー飲料・菓子・医薬品など他の多くの製品に使用されています。PKUの診断を受けている方は、原材料に「L-フェニルアラニン化合物」の記載がある製品全般を避けてください。

まとめ——ゼロカロリー飲料との賢い付き合い方

この記事で解説した内容を整理します。

  • 「カロリーゼロ」は食品表示基準上の表示であり、厳密には100mlあたり5kcal未満を意味します。完全なゼロではありません。
  • コカ・コーラゼロシュガー(日本版)の甘さは、スクラロースとアセスルファムKの2種類の甘味料によるものです。どちらも体内で代謝されずカロリーはゼロです。
  • アスパルテームは日本版コカ・コーラゼロシュガーには含まれていませんが、ゼロカロリー食品全般に広く使われる甘味料です。2023年にIARCが「グループ2B」に分類しましたが、これは「証拠の強さ」の分類であり、日常的な摂取量でのリスクを示すものではありません。
  • WHOの2023年勧告は「危険だから禁止」ではなく、「長期的なダイエット目的での使用に有効性が確認されていない」という趣旨です。
  • 現状の科学的コンセンサスでは「通常の摂取量では安全」とされていますが、砂糖入り飲料からの切り替えとしての短期的な合理性はあるものの、水・お茶と比べた長期的な優位性は確認されていません。

「コカ・コーラゼロは危険か安全か」という問いへのシンプルな答えはありません。現時点の科学的コンセンサスは「通常の摂取量では安全性に問題がない」ですが、「水やお茶より健康的」とも言えません。

大切なのは、誇張された不安情報にも根拠のない安心情報にも流されず、公的機関の評価と自分の飲み方を照らし合わせて判断することです。

ゼロカロリー飲料を楽しみながらも、日常の水分補給の中心は水やお茶に置く——そのバランスが、現在の科学的知見に即した賢い付き合い方といえるでしょう。


参考情報

  • WHO(2023年)「Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline」
  • IARC Monographs Volume 134(2023年)アスパルテーム評価
  • JECFA(2023年)アスパルテームのリスク評価
  • 日本食品安全委員会「アスパルテームに関するQ&A」
  • Suez J, et al. Cell. 2022;185(18):3307-3328. 「Personalized microbiome-driven effects of non-nutritive sweeteners on human glucose tolerance」
  • 消費者庁「食品表示基準」
  • 厚生労働科学研究(令和4年度)食品添加物の一日摂取量調査


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オールマネージの谷口です。

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